高校数学Bで頻出の 漸化式。
実はほとんどの問題は 4つの基本パターン に分類でき、パターンさえ理解すれば一般項は機械的に求められます。
本記事では、まずは4つの基本パターンについて丁寧に解説していきます。
「漸化式が解けるようになりたいけど、何から始めればいいかわからない」
「応用問題を解くための基礎を固めたい」
そんなみなさまにおすすめの記事です。
1. 漸化式とは?
[1] $a_1=1$ [2] $a_{n+1}=2a_n+1$
のような2つの条件式が与えられているとき、
[1]を用いて、[2]より
$$n=1のとき a_2=2\cdot{a_1}+1=2\cdot1+1=3$$
$$n=2のとき a_3=2\cdot{a_2}+1=2\cdot3+1=7$$
$$n=3のとき a_4=2\cdot{a_3}+1=2\cdot7+1=15$$
といった具合に、「数列の各項」を「その前の項」からただ一通りに定めることができる式を漸化式といいます。
- 漸化式とは、「今の項」を「一つ前の項」から決定する式
- 多くの問題の目的はこの漸化式が表す数列の一般項$a_n$を求めること
2. 漸化式の基本方針:4パターンを見抜くだけでOK
漸化式の一般項を求める際にまず確認すべきは
$a_n$ と $a_{n+1}$ の関係が「どの型」に当てはまるか です。
本記事で扱うのは以下の4つ:
- 等差型 $a_{n+1}=a_n+d$
- 等比型 $a_{n+1}=r\cdot{a_n}$
- 階差型 $a_{n+1}=a_n+f(n)$
- 特性方程式型 $a_{n+1}=p\cdot{a_n}+q$
後に学ぶ漸化式応用パターンはこの基礎の4パターンに帰着させて解くことがほとんどです。
3. 等差型 $ a_{n+1} = a_n + d $
最も基本的な漸化式です。この漸化式は隣り合う項の差が定数 $d$
すなわち $d$ を公差とする等差数列であることを示します。
3-1. 一般項の形
〇等差数列の一般項 $a_n$
初項を $a$ 公差を $d$ とすると
$a_n=a+(n-1)\cdot{d}$
と表される。
3-2. 例題
$a_1=2 a_{n+1}=a_n+4 (n=1,2,3…)$ により定められる
数列 の一般項 $a_n$ を求めよ。
〇解答
$a_{n+1}=a_n+4$ より、この数列は初項2、公差4の等差数列である。
よって
$a_n=2+(n-1)\cdot4$
$a_n=4n-2$
4. 等比型 $ a_{n+1} = ra_n $
こちらも最も基本的な漸化式です。この漸化式は隣り合う項の比が定数 $r$
すなわち $r$ を公比とする等比数列であることを示します。
4-1. 一般項の形
〇等比数列の一般項 $a_n$
初項を $a$ 公比を $r$ とすると
$a_n=a\cdot{r^{n-1}}$
と表される。
4-2. 例題
$a_1=3 2a_{n+1}-4a_n=0 (n=1,2,3…)$ により定められる
数列 の一般項 $a_n$ を求めよ。
〇解答
$\begin{align}2a_{n+1}-4a_n&=0\\\frac{a_{n+1}}{a_n}&=2\end{align}$
より、この数列は初項3、公比2の等比数列である。
よって
$a_n=3\cdot2^{n-1}$
5. 階差型 $ a_{n+1} = a_n+f(n) $
この漸化式は隣り合う項の差が一般項を $f(n)$ とする数列 $b_n$
すなわち階差数列であることを示します。
5-1. 一般項の形
〇階差数列の一般項 $a_n$
初項を $a$ 差の一般項を $b_n$ とすると
$a_n=a+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}b_k (n \geqq 2のとき)$
と表される。
5-2. 例題
$a_1=1 a_{n+1}=a_n+4n-1 (n=1,2,3…)$ により定められる
数列 の一般項 $a_n$ を求めよ。
〇解答
$a_{n+1}=a_n+4n-1$ より、この数列は差の一般項を $4n-1$ とする階差数列である。
よって $n \geqq 2$ のとき
$\begin{align}a_n &=1+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}(4n-1)\\&=1+4\cdot \displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}k-\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}1\\&=1+4\cdot\frac{1}{2}n(n-1)-(n-1)\\&=2n^2-3n+2\end{align}$
これは、$n=1$ においても成立する。
したがって
$a_n=2n^2-3n+2$
6. 特性方程式型 $ a_{n+1} = pa_n+q $
こちらの漸化式は、特性方程式という式を用いて
$a_{n+1}-\alpha=p(a_n-\alpha)$ となるような $\alpha$ をつくり
先ほど学んだ、等比型として一般項を求めます。
この後に学漸化式パターンの多くは、この形に変形して解き進めることになるので、しっかりと理解しておきましょう。
6-1. 式変形のポイント
$b_n b_{n+1}$ と置き換えられるように対応する形をつくる
6-2. 例題
$a_1=3 a_{n+1}=2a_n-4 (n=1,2,3…)$ により定められる
数列 の一般項 $a_n$ を求めよ。
〇解答
$\begin{align}a_{n+1}&=2a_n-4 ・・・(1)\\\alpha&=2\alpha-4 ・・・(2)\end{align}$
(1)式ー(2)式より、
$a_{n+1}-\alpha=2(a_n-\alpha) ・・・(3)$
ここで、(2)式を $\alpha$ について解くと $\alpha=4$ となり
(3)式は
$a_{n+1}-4=2(a_n-4)$ となる
ここで $b_n=a_n-4$ とすると
$b_{n+1}=2b_n$ が得られる。
したがって数列 $b_n$ は初項 $-1$ 公比 $2$ の等比数列なので、
$\begin{align}b_n&=-1\cdot2^{n-1}\\a_n-4&=-1\cdot2^{n-1}\\a_n&=-1\cdot2^{n-1}+4\end{align}$
まとめ
今回は、漸化式基本の4パターンについて紹介しました。
このまま漸化式応用パターンに進む方はこちら
他の科目の勉強法・数学に関する他のテクニックが知りたい方はこちら
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