「勉強時間は十分に取っているのに、なぜか成績が伸びない」
こうした悩みを抱える人は少なくありません。
実はこの原因の多くは、努力不足ではなく「学び方」にあります。
その判断基準として、近年教育・学習科学の分野で広く知られているのが
AGESモデルです。
AGESモデルは、学習が脳に定着するために必要な4条件を整理した非常に実用的な理論です。
本記事では、このAGESモデルを軸に、成績に直結する正しい勉強法を解説します。
AGESモデルとは何か
AGESとは、以下4要素の頭文字を取ったものです。
- A:Attention(注意)
- G:Generation(想起・生成)
- E:Emotion(感情)
- S:Spacing(間隔)
AGESモデルは、脳科学や教育心理学の知見をもとに
Neuro Leadership Institute が提唱した学習フレームワーク、つまり「記憶が定着する学習条件」を体系的にモデル化したものです。
重要なのは、
この4つが揃って初めて“意味のある学習”になる
という点です。
A:Attention(注意)― 1つのことに集中する
A-1.注意がなければ、脳は「学習していない」
脳は、注意を向けていない情報をほぼ記憶しません。
つまり、
- BGMを流しながらの英単語暗記
- スマホを横に置いたままの問題演習
- 眠気を我慢して続ける夜勉強
これらは「勉強しているつもり」でも、脳科学的には学習効率が極端に低い状態です。
「ながら勉強」や「体調・環境が整っていない状態の勉強」は本来の学習効果を発揮できないのです。
A-2. 実践方法
- 勉強開始前に「今日は何を理解するか」を言語化
→何をしようか考えることにも脳のリソースを割いてしまうため、あらかじめ決めておくと良い - 25〜30分で一度区切る(ポモドーロテクニック)
→高い集中力を維持するため、短く区切って勉強する - スマホは物理的に視界から消す
→学習環境を整える『環境デザイン』で習慣は自動化できる——机・PC・スマホの最適配置術
集中時間を短く・深く取ることが、Attentionを最大化します。
G:Generation(生成)― 「思い出す」ことで記憶は強くなる
G-1. 読むだけ・聞くだけはNG
脳は「入力」よりも「出力」によって強く学習します。
これに用いるのが想起(アクティブリコール)です。
アクティブリコールについて脳科学が証明する「アクティブリコール」完全ガイド | 記憶定着の黄金メソッド
例:
- 解説をもう一度読む →
- 何も見ずに説明できるか試す →
G-2. 具体例(英語)
- 長文解説を読み「なるほど」で終わる
- わからなかった単語に線をひくだけ
- 話の要約を3行で書く
- 新しく覚えた単語を間隔(翌日・3日後など)をあけて書き出す
- 接続詞(however / thereforeなど)だけ抜き出して流れを説明する
「思い出そうとする負荷」が、記憶を強化します。
E:Emotion(感情)― 無感情な学習は定着しない
E-1. 感情は記憶のブースター
強い感情(驚き・納得・悔しさ・達成感)は、記憶定着を促進します。
- 「あ、ここつながった!」
- 「さっきは解けなかったのに解けた」
こうした小さな感情の動きが、学習効果を高めます。
E-2. 実践方法
- 解けなかった問題に★を付ける
- 成長が見える記録(正答率・時間)を可視化
- 他人に説明して「通じた」体験を作る
勉強は感情を排した作業ではなく、
意図的に感情を組み込む設計が必要です。
S:Spacing(間隔)― 間隔をあけて反復する
S-1. 一夜漬けは最悪の学習法
人間の記憶は、時間間隔を空けて触れることで強化されます。
これが分散学習(Spacing Effect)です。
反復学習について反復学習の効果と最適な復習間隔とは?記憶を定着させる科学的勉強法
S-2. 効果的な復習間隔(例)
- 学習直後
- 翌日
- 3日後
- 1週間後
「忘れかけた頃」に思い出すことが、最も効率的です。
まとめ:努力を「結果に変える」勉強法へ
AGESモデルは、「才能の話」ではありません。
誰でも再現可能な、学習の設計図です。
もし今、
- 勉強しているのに成果が出ない
- 時間ばかり消費している気がする
そう感じているなら、
「どれだけやったか」ではなく
「AGESを満たしているか」を一度見直してください。
努力は、正しい形で行われてこそ意味を持ちます。
科学的に効果が高い勉強法についてもっと体系的に学びたい方は、こちらの総まとめ記事へ
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