高校有機化学:覚えたい反応経路図【アルケンからの反応】

今回は高校有機化学における「アルケンからの反応経路図」をまとめました。

「何が」「どんな反応を介して」「何になるか」をおさえることで、入試の有機化学問題をスムーズに解くことができるようになります。

また、反応経路図だけでなく、覚えておきたい知識もまとめていますので、普段の勉強にもご活用ください。

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目次

1. エチレンが開始物質の反応経路図

アルケンとは、$C_nH_{2n}$ で表される、鎖式不飽和炭化水素のなかで、炭素原子間二重結合を持つものを指します。

ここでは、エチレンを開始物質とした反応経路図をおさえておきましょう。

ぜひご自身で何度もノートに書いて覚えてください。

2. プロペン(プロピレン)が開始物質の反応経路図

こちらは、プロペン(プロピレン)を開始物質とする反応経路図です。

こちらも併せて覚えましょう。

3. 必須知識まとめ

この章では、先ほど学習した反応経路図をより深く理解するために必要な知識をまとめていきます。

3-1. 分子間脱水と分子内脱水

分子間脱水と分子内脱水はどちらも濃硫酸を触媒とする反応です。濃硫酸には、脱水作用の他不揮発性・加熱により酸化剤(熱濃硫酸)となる性質があることをおさえておきましょう。

  • 分子間脱水の例:
    CH₃ーCH₂ーOH HOーCH₂ーCH₃ → CH₃ーCH₂ーOーCH₂ーCH₃ + H₂O

    この反応は130℃~140℃で起こり、エタノール2分子のヒドロキシ基間で脱水縮合が起こっています。
  • 分子内脱水の例:
    HーCH₂ーCH₃ーOH → CH₂=CH₂ + H₂O

    この反応は160℃~170℃で起こり、エタノール分子内のHとOHで脱水反応がおこりエチレンが生成します。

一般に、高温になるほど分子内脱水が起こりやすくなります。

3-2. マルコフニコフ則

マルコフ二コフ則とは「H(水素)の付加に関する経験則」です。

〇マルコフ二コフ則

Hが二重結合に付加する場合、より多くのH原子と結合しているC原子側に、さらにH原子が結合しやすい。

これにより、H原子の付加に関する反応において、より多く生成される主生成物とあまり生成されない副生成物が決定されます。

3-3. 酸化開裂

酸化開裂とは、過マンガン酸カリウム KMnO₄ やオゾン O₃ を酸化剤とし、適切条件で反応を行うと、C=C結合が切断され、それぞれC=O結合に変化する反応です。

3-4. 低密度ポリエチレン(LDPE)と高密度ポリエチレン(HDPE)

ポリエチレンとは、エチレンが付加重合して形成されたポリマー(重合体)で、付加重合を行う際の触媒や温度によって生成物が低密度ポリエチレン(LDPE)と高密度ポリエチレン(HDPE)に分かれます。

  • 低密度ポリエチレン(LDPE)
    200℃・高圧下開始剤を用いて反応を行う
    透明で柔らかく、レジ袋や包装フィルムに用いられる。
  • 高密度ポリエチレン(HDPE)
    60℃・低圧下チーグラー・ナッタ触媒を用いて半ぬを行う
    不透明で硬く、バケツなどの容器に用いられる。

まとめ

今回はアルケンの反応経路図を紹介しました。
反応の流れを体系的に理解しておくことで、問題文中のキーワードからどんな反応が起こっているのかを読み取ることができるようになりましょう。

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