1. 入試で問われる 主な気体の製法一覧
1-1. 水素 H₂
(水素よりもイオン化傾向の大きい金属)+(酸)
ここでいう金属は、Pb以外であることに注意
例:亜鉛(固体)に希硫酸を注ぐ
Zn + H₂SO₄ → ZnSO₄ + H₂↑
1-2. 酸素 O₂
- 酸化マンガン(Ⅳ)(固体)に過酸化水素水を加える
2H₂O₂ → 2H₂O + O₂↑ - 塩素酸カリウム(固体)に酸化マンガン(Ⅳ)(固体)を加えて加熱
2KClO₃ → 2KCl + 3O₂↑
酸化マンガン(Ⅳ)MnO₂は触媒なので、化学反応式には含めない
1-3. 窒素 N₂
濃い亜硝酸アンモニウム溶液を加熱
NH₄NO₂ → N₂↑ + 2H₂O
1-4. 塩素 Cl₂
- 酸化マンガン(Ⅳ)(固体)に濃塩酸を加えて加熱
MnO₂ + 4HCl → MnCl₂ + 2H₂O + Cl₂↑ - さらし粉(固体)に塩酸を加える
CaCl(ClO)・H₂O + 2HCl → CaCl₂ + Cl₂↑ + 2H₂O
1-5. 塩化水素 HCl
食塩(固体)に濃硫酸を加えて加熱
NaCl + H₂SO₄ → NaHSO₄ + HCl↑
〇揮発性酸遊離反応(要加熱)
(揮発性酸の塩)+(不揮発性の酸) → (不揮発性酸の塩)+(揮発性の酸)
今回の反応においては、HCIが揮発性の酸で、H₂SO₄が不揮発性の酸です。
H₂SO₄は不揮発性の酸の代表例ですので、覚えておましょう。
1-6. 硫化水素 H₂S
硫化鉄(Ⅱ)(固体)に強酸(希硫酸や希塩酸)を加える
FeS + H₂SO₄ → FeSO₄ + H₂S↑
〇弱酸遊離反応
(より弱い酸由来の塩)+(より強い酸) → (より強い酸由来の塩)+(より弱い酸)
今回の反応に関連する酸は硫化水素と希硫酸であり、硫化水素は希硫酸と比較して弱い酸であるため、弱酸遊離反応がおこります。
1-7. アンモニア NH₃
塩化アンモニウム(固体)と水酸化カルシウム(固体)を混合して加熱
2NH₄Cl + Ca(OH)₂ → CaCl₂ + 2H₂O + 2NH₃↑
〇弱塩基遊離反応
(より弱い塩基由来の塩)+(より強い塩基) → (より強い塩基由来の塩)+(より弱い塩基)
今回の反応に関連する塩基はアンモニアと水酸化カルシウムであり、アンモニアは水酸化カルシウムと比較して弱い塩基であるため、弱塩基遊離反応がおこります。
- なぜ固体だけで反応させるの?
-
アンモニアが水に溶けやすい性質をもっているから。
1-8. 二酸化硫黄 SO₂
- 鉄(固体)に濃硫酸を加えて加熱
Cu + 2H₂SO₄ → CuSO₄ + 2H₂O + SO₂↑
濃硫酸を加熱して熱濃硫酸(酸化剤)にしています。 - 亜硫酸ナトリウム(固体)に希硫酸を注ぐ
Na₂SO₃ + H₂SO₄ → Na₂SO₄ + H₂O + SO₂↑
弱酸遊離反応です。
1-9. 一酸化窒素 NO
銅(固体)に希硝酸を注ぐ
3Cu + 8HNO₃ → 3Cu(NO₃)₂ + 2NO↑ + 2H₂O
希硝酸の半反応式は
HNO₃ + 3H⁺ + 3e⁻ → NO + 2H₂O
1-10. 二酸化窒素 NO₂
銅(固体)に濃硝酸を注ぐ
Cu + 4HNO₃ → Cu(NO₃)₂ + 2NO₂↑ + 2H₂O
濃硝酸の半反応式は
HNO₃ + H⁺ + e⁻ → NO₂ + H₂O
1-11. 一酸化炭素 CO
熱濃硫酸にギ酸を滴下する
HCOOH → H₂O + CO↑
熱濃硫酸は脱水作用をもちます。
1-12. 二酸化炭素 CO₂
石灰石(固体)に塩酸を注ぐ
CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + H₂O + CO₂↑
弱酸遊離反応です。
1-13. フッ化水素 HF
ホタル石(固体)に濃硫酸を加えて加熱
CaF₂ + H₂SO₄ → CaSO₄ + 2HF↑
揮発性酸遊離反応です。
まとめ
今回は、主な気体の製法について紹介しました。加熱が必要なもの、触媒が必要なもの、弱酸(弱塩基)遊離反応などといった基本的な化学反応式のパターンをおさえることは、入試で化学を得点源にするために重要な事です。
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