本記事は「漸化式解説シリーズ」の2作目です。今回は、漸化式応用の6パターンのうち3つを紹介します。どれも入試頻出ですので、しっかりと理解していきましょう。
前回の記事(数学B「漸化式 基本の4パターン」完全ガイド)を読んでから続きへ進むのがおすすめです。
次の記事数学B「漸化式 応用の6パターン」完全ガイドその②も続けてごらんください。
「漸化式を得点源にしたい」
「応用問題を解く実力を身に着けたい」
そんなみなさまにおすすめの記事です。
1. $a_{n+1}=pa_n+f(n)$ 型
1-1. 解法のポイント
このパターンのキーワードは「上げて引く」です。
具体的には $n={n+1}$ の式を作成し、元の漸化式との差をとるということです。
1-2. 例題
$a_1=4 a_{n+1}=2a_n+8n (n=1,2,3…)$ により
定められる数列の一般項を求めよ。
$a_{n+1}=2a_n+8n …①$ について $n={n+1}$ とすると
$a_{n+2}=2a_{n+1}+8(n+1) …②$
②式ー①式より
$a_{n+2}-a_{n+1}=2(a_{n+1}-a_n)+8 …③$
$a_{n+1}-a_n=b_n$ とおくと、③式は
$b_{n+1}=2b_n+8$ となる。
(この式の形は、前回学んだ特性方程式型)
$b_{n+1}+8=2(b_n+8)$
数列 $b_n+8$ は初項12 公比2 の等比数列なので
$\begin{align}b_n+8&=12\cdot2^{n-1}\\b_n&=12\cdot2^{n-1}-8\\a_{n+1}-a_n&=12\cdot2^{n-1}\end{align}$
(階差型へ)
$n\geqq2$ のとき
$\begin{align}a_n&=a_1+\displaystyle \sum_{k=1}^{n-1}(12\cdot2^{n-1}-8)\\a_n&=3\cdot2{n+1}-8n\end{align}$
これは $n=1$ でも成立する。したがって
$a_n=3\cdot2{n+1}-8n$
2. $a_{n+1}=pa_n+q^n$ 型
2-1. 解法のポイント
このパターンのキーワードは「両辺を $q^{n+1}$ で割る」です。
この式変形により特性方程式型へと移行しましょう。
2-2. 例題
$a_1=4 a_{n+1}=6a_n+2^n (n=1,2,3…)$ により
定められる数列の一般項を求めよ。
与えられた漸化式の両辺を $2^{n+1}$ で割ると
$\frac{a^{n+1}}{2^{n+1}}=3\cdot\frac{a_n}{2^n}+\frac{1}{2}$
$\frac{a_n}{2^n}=b_n$ とおくと
$b_{n+1}=3b_n+\frac{1}{2}$
(この式の形は、前回学んだ特性方程式型)
$b_{n+1}+\frac{1}{4}=3(b_n+\frac{1}{4})$
数列 $b_n+\frac{1}{4}$ は初項 $\frac{9}{4}$ 公比3 の等比数列なので
$\begin{align}b_n+\frac{1}{4}&=\frac{9}{4}\cdot3^{n-1}\\b_n&=\frac{9}{4}\cdot3^{n-1}-\frac{1}{4}\\b_n&=\frac{1}{4}(3^{n+1}-1)\\\frac{a_n}{2^n}&=\frac{1}{4}(3^{n+1}-1)\\a_n&=2^{n-1}(3^{n+1}-1)\end{align}$
3. $a_{n+1}=\frac{a_n}{pa_n+q}$ 型
3-1. 解法のポイント
このパターンのキーワードは「両辺の逆数をとる」です。
この式変形により特性方程式型へと移行しましょう。
3-2. 例題
$a_1=2 a_{n+1}=\frac{a_n}{4a_n+3} (n=1,2,3…)$ により
定められる数列の一般項を求めよ。
$a_1\gt0$ および漸化式より、$a_n\neq0$ は常に成立する。
両辺の逆数をとると
$\begin{align}\frac{1}{a_{n+1}}&=\frac{4a_n+3}{a_n}\\&=\frac{3}{a_n}+4\\&=3\cdot\frac{1}{a_n}+4\end{align}$
ここで、$\frac{1}{a_n}=b_n$ とおくと
$b_{n+1}=3b_n+4$
(この式の形は、前回学んだ特性方程式型)
$b_{n+1}+2=3(b_n+2)$
数列 $b_n+2$ は初項 $\frac{5}{2}$ 公比3 の等比数列なので
$\begin{align}b_n+2&=\frac{5}{2}\cdot3^{n-1}\\b_n&=\frac{5}{2}\cdot3^{n-1}-2\\&=\frac{5\cdot3^{n-1}-4}{2}\\\frac{1}{a_n}&=\frac{5\cdot3^{n-1}-4}{2}\\a_n&=\frac{2}{5\cdot3^{n-1}-4}\end{align}$
まとめ
今回は、漸化式応用のの6パターンのうち、3つについて紹介しました。
このまま漸化式応用パターンその②に進む方はこちら②
他の科目の勉強法・数学に関する他のテクニックが知りたい方はこちら
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